50人の登場人物のエピソードが少しずつ交差していく本。これは誰だったっけ?と行きつ戻りつしながら読んでいたからずいぶん時間がかかったけど、読んでよかった。どんな集団にも小さな権力を持つことで周囲の十人、百人を苦しめる人間がいるって文章にハッとした。
非正規職員の図書館司書だったキム・ハンナさんのエピソード、シュークリーム先生の自分が幸運だと感じながら「遠くに石を投げるリレー」をするように生きるって考え方には元気が出た。
しばらく少しずつ読んでいた。コストコみたいな業務用スーパーで一見便利な食品を大量購入しては余らせたままになったり、それで自己嫌悪に陥ったり、料理に苦手意識を持っていてそれで家族のパワーバランスまでいびつになったりしている人が料理のレッスンを受けて変わっていく話。
柚木麻子さんの本にもあったけど、自分で作って食べると自分が変わる。私のためにも家族のためにも、簡単なものでいいから作っていけたらいいな。
私たちにはことばが必要だ もそうだったけど、あまりにも正論すぎて、そういえばあの時も、あの人も、と辛くなってしまう記述が続いて、下駄をはかせる人やはいている人こそ読むべきなのにって思った。