2022年49冊め

僕とぼく 妹の命が奪われた「あの日」から

数年前に新聞の書評で読んでからずっと読んでみたいと思っていた。佐世保で小6の女の子が同級生に殺害された事件の被害者のお兄ちゃんふたりの立場から書かれた本。


毎日新聞佐世保支局長だった被害者のお父さんの部下で、佐世保支局が初任地だった記者の方が著者。とにかく文章が読みやすかった。最近余裕や余白がなかったせいか本を読む時間が取れていなかったし、読みたい本を手に取っても「あれ?これって何だっけ?」って引っかかることが多くて、読み進めるのに時間がかかっていたけど、それが一切ないまま一気に読めて、そのことに驚いた。新聞記者の方の文章力ってすごい。


被害者の長兄が「僕」、次兄が「ぼく」として進んでいく家族の物語。私は長女だから「僕」の行動がわかるわかる…って思う部分がたくさんあったし、兄と妹との間に生まれた「ぼく」が自分の気持ちを自分の中に閉じ込めてしまう様子を私の妹に重ねて読んだりした。


「僕」も「ぼく」もお父さんも、乗り越えていくにも抱えたままでいるにも大きすぎる事件。事件後の被害者家族にもそれぞれの人生、生活があって、未成年の子どもたちは成長していく。TVや新聞で報じられるニュースの周りにたくさんの関係者がいることは当たり前のことなのに、なかなか想像することはできない。


御手洗家の方々が幸せでいてくれますようにって願う。