2022年19冊め

さみしくなったら名前を呼んで (幻冬舎文庫)

楽しいこともあったけど二度と戻りたくない思春期のこと、こじらせてふくらみ続けた過剰な自意識、実家や地方に残り続けるか出ていくかの分かれ道について、思い出したり考えたりできるところが山内マリコさんの文章の好きなところ。「さよちゃんはブスなんかじゃないよ」が一番好き。


「何者でもない」からこそ「何者にでもなれる」んだし、何よりも自立した人になりたかった。すてきな女性にはなれてなくても、家族や友人の力を借りながらも自立した大人になれてよかった。


2022年18冊め

発達障害の人が長く働き続けるためにできること (健康ライブラリー)

片付けが嫌いだからADHD傾向だと今まで思っていたけど、私はどちらかというとASD傾向の方が当てはまりがちかもしれないと思った。


発達障害の診断あるなしに関わらずどんな人にも得意なことと苦手なことがあって、苦手を克服するためにリソースを割くのではなく各々が得意なことを活かせたらよい職場になるのにな。

2022年17冊め

その手をにぎりたい (小学館文庫)

この前信頼している穏やかな年上の女性が「男女雇用機会均等法が制定された翌年に働き始めて」って話をしていて、ちょうどその年代の話だなと興味深かった。柚木さんの食べ物の描写はいつもお腹が空く。すきやばし次郎のこと、私の実家で営んでいる不動産会社がバブル終焉を迎えた時のこと、この前ミステリと言う勿れのドラマを見ていたら漫画にはなかった気がする風呂光さんが整くんに恋愛感情を抱きはじめてるような描写があったことなど、いろいろと思い出しながら読んだ。ミステリと言う勿れも柚木さんの小説も、異性間にはまず恋愛!そして両思いへ!みたいなところがないところが好き。

2022年14冊め

ブラックボックス

今年の芥川賞受賞作品の主人公は「怒りが爆発すると転職する」ってニュースで聞いて、えっ?私のこと?って夫と笑った「ブラックボックス」。ブラックボックスって言葉は作中に1回しか出てこなかった気がする。


芥川賞は難しめで文学的、直木賞は俗っぽく現代的ってイメージだったけど、読みやすくて現代的な小説だった。作者の砂川文次さんって若い人なのかな?って記述がいくつかあったけど「老人かもしれないと感じた人をよく見てみたら70歳くらいで本当に老人だった」ってところが衝撃的だった。調べてみたら砂川さんは31歳。私は親世代が70代だから70歳くらいの人を老人だとは思わないけど、30代前半の人から見たら70歳は老人!


空気を読めたりその場に応じた受け答えができる力を求められる社会で、適切ではない発言が口をついて出てきたり、怒りが爆発してしまう主人公に共感するところもあった。

2022年13冊め

マジカルグランマ

333ページ:だけど、自分の未来や自分の生活を真剣に考えることの、何がいけないのでしょうか。私たちはどこかでおばあさんは、いや、女というものは、自分を後回しにして、他人のために尽くすべきだと考えてはいないでしょうか?誰かの犠牲や献身で生まれた幸せはある日突然、終わってしまうことに、もうみんな気付きはじめているのに。


私はマジカルママでもマジカルワイフでもマジカルウーマンでもマジカルジャパニーズでもないから、自分のために自分で工夫して楽しんで生きていきたい。誰かによりかかるんじゃなく自分で。